コラム
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Vol.54「書店員さんのからの手紙」
約1年前、私の大好きな作家さんがこの世を去られました。
暫くしてから、出版会社の計らいでその作家さんへの追悼の意味を込め、絶筆となった作品が単行本として販売されることになりました。
大阪には作家さんと特に交流の深かったとある書店があります。
その書店限定ではなんと、今まで作家さんが販促用に描きおろしていた全てのイラストを改めて印刷し直し、購入特典として付けるキャンペーンをするというのです。
当時私は九州に住んでいたので、電話で書店に問い合わせをしました。
すると自宅まで送ってくださることなりました。
数日後、本とたくさんの販促用のイラストが一通の茶封筒と共に届きました。
明細書か何かだろうか?とその茶封筒を開けると、書店員さん直筆の文字で、「作家さんのファンの皆様へ」と作家さんのファンに対しての想いが綴られた手紙が入っていたのです。 私は作家さんやファンの気持ちを汲んで、想いを伝えてくださったことに感動しました。今でも心に残る、大切な思い出です。
顔も知らない書店員さん、あの時はありがとうございました。
実際にその店舗へ行った訳ではないですが、私はその書店の心のこもった「おもてなし」の気持ちをたった一通の手紙から確かに感じたのでした。(森)