コラム
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Vol.51「見える体験」
個人的に、夏になると行きたくなる、直島。美術館や島のあちこちに現代アートの作品がある、アートの島です。電動自転車を漕ぎながら、アート作品を見て回る、なんともいえない非日常感が魅力です。
そんな直島で私のお気に入りの作品は、南寺です。家プロジェクトという、もともと島に点在していた空き家を改修し、空間そのものを作品化するというアートプロジェクトの作品の1つです。
この作品の好きなところは、“見える”を体験できるところです。南寺の中は真っ暗です。壁伝いに中へ入っていき、ベンチに座ります。そして、ひたすら暗闇を見つめます。すると……。
暗闇を見つめている時間は、自分が目を開けているのか閉じているのか分からなくなる不思議な感じがします。そして、私が思う南寺の一番の魅力は、ネタバレになってしまいますが、何も見えない状態から、暗闇に目が慣れ、見えてくるというところです。普段、当たり前にしている見ることを体験できる作品です。見えることにこんなに感動するなんて…。
言葉でこの感動を伝えるのはとても難しいので、ぜひ、実際に体験していただきたいです。直島には、他にも魅力的な作品がたくさんあります。この夏は、直島へ!(猪狩)