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コラム

石井淳蔵先生の好奇心 好評連載第4回
「中内㓛が手本にした小林一三のエンタテインメント」

こんにちは、石井です。新緑が輝くよい季節になりました。ゴールデンウィークも過ぎたところですが、みなさんはどのように過ごされましたか?
毎年この季節は、海外旅行や帰省、ショッピングや映画鑑賞など楽しみがたくさん溢れており、今年もそんな賑わいのある日々だったように感じます。

小林一三と中内㓛が創ったエンタテインメント

さて、私たちはこのように日々エンタテインメントを享受する立場であるわけですが、これまでにご紹介してきた小林一三さん、中内㓛さんはどうだったかといいますと、“エンタテインメントを創る”立場にあったのですね。
 小林一三さんの「宝塚歌劇団」はもちろんのこと、全国高等学校野球選手権大会の前身となる「全国中等学校優勝野球大会」の創設や、「箕面の動物園」の開業など、枚挙にいとまがありません。
 一方、中内さんはというと、実は小林一三さんのエンタテインメント事業に習った点が数多く見受けられます。新神戸では、ホテルや劇場、200近い数のショッピングセンターが入る複合商業施設を開業させ、福岡ではプロ野球を軸とするエンタテインメント空間の創出に乗り出したのです。どれも、その柱には「顧客を創造する」考え方がベースにあり、単なる楽しみを創出しただけではありません。大衆に支えられた文化を顧客とともに作りたい、そんな思いが込められていたのかもしれませんね。

福岡市民の信頼を得るために

そんな思いが垣間見える、「ダイエーホークス」の設立にまつわるエピソードがあります。
プロ球団を買収したのち、福岡を拠点とする球団を設立した中内さん。なんと夏祭りの場で、博多祇園山笠(高さ3メートル)の上で「オッショイ!オッショイ!」と掛け声をかけたというのです。当時65歳だった彼ですが、「福岡市民の信頼を得るためなら」という気概が感じられますよね。
それから20年あまり、中内さんが逝去した際のソフトバンクホークス(ダイエーホークスの後進)と東北楽天イーグルスの対戦では、試合前に両チーム・観客が黙とうをささげ、電光掲示板には「ありがとう!!中内㓛さん 福岡はあなたを忘れません 安らかにおやすみください」の文字が映し出されました。

 数々の業績を残された小林一三、中内㓛。多くの偉業を成し遂げた2人の紹介は、まだまだ終わりそうにありませんがこの辺で…。
この度PHP経営叢書より「中内 㓛 理想に燃えた流通革命の先導者」と題して本を執筆し紹介いたしました。ご興味がある方は、ぜひお手に取ってみてくださいね。

[プロフィール]

石井 淳蔵 [学校法人中内学園 流通科学研究所 日本マーケティング学会会長]
1970年神戸大学経営学部卒業。75年神戸大学大学院経営学研究科博士課程修了。同志社大学商学部教授から、89年神戸大学経営学部教授、経営学研究科教授、経営学研究科現代経営学専攻長を経て、08より年流通科学大学学長(神戸大学名誉教授)。著書に「営業をマネジメントする」(岩波書店)、新訳「事業の定義」(碩学舎)、「マーケティングを学ぶ」(筑摩書房)、「寄り添う力」(碩学舎)など多数。
iCL(石井マーケティング研究会)サイトはこちらから>>

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